CHPがん蛋白質ワクチンのグローバルな開発と事業化
下記のCHPがん蛋白質ワクチンを国内外で幅広く開発および事業化していきます。
- CHP-NY-ESO-1ワクチン
- CHP-MAGE-A4ワクチン
- 上記2種に続く新たなCHPがん蛋白質ワクチン
がんワクチン CHP-NY-ESO-1 の臨床開発
CHPは「コレステロール疎水化プルラン」の意味で、天然に存在する高分子多糖であるプルランをコレステロールで修飾して疎水性を付加したものです。CHPは生理的条件下でナノメートルサイズの球状粒子を自己形成し、その粒子の中に含む形で各種の蛋白質と複合体を形成することができます。
このCHPと抗原蛋白質の複合体を生体に免疫すると、抗原蛋白質に対するキラーT細胞とヘルパーT細胞の同時活性化が効率よく達成されるこ とが発見されました。もしこうした工夫をせずに、抗原蛋白質のままで免疫をすると、概ねヘルパーT細胞だけしか活性化できない弱いワクチンとなります。したがって、キラーT細胞とヘルパーT細胞の両方を活性化できるCHP-蛋白質複合体技術は、新しいワクチン技術として大変有望です。
そこでCHP-蛋白質複合体技術に関する種々の基礎研究を積み重ねた後に、ヒトのがん蛋白質の一種であるHER2を抗原とするCHP-HER2複合 体ワクチンが製造され、これについて国内の臨床研究で評価が行われました。その結果、CHP-HER2複合体ワクチンの高い免疫誘導能力と安全性が臨床で明確に確認されました。
このCHP-HER2複合体ワクチンの成果に基づき、CHPがん蛋白質ワクチンは「文部科学省がんトランスレーショナル・リサーチ事業」という国家プロジェクトの一環として採択され、さらに発展を続けています。開発品として従来のCHP-HER2複合体ワクチンに次いで、NY-ESO-1 という抗原を採用したがんワクチン「CHP-NY-ESO-1」が新たに加わり、本格的な臨床開発が進行しています。
NY-ESO-1はがんに特異的かつ広範囲に発現し免疫誘導能にも大変優れた抗原蛋白質で、CHP-NY-ESO-1ワクチンは高い有効性を発揮するこ とが期待されます。そして実際、上述のがんトランスレーショナル・リサーチ事業に先行して実施されたCHP-NY-ESO-1ワクチンの国内臨床研究において、同ワクチンの高い免疫誘導能力や食道がん患者における臨床効果が明確に確認されました。これらの結果に基づき、当社では 2009年より日本国内にて食道癌を対象としたCHP-NY-ESO-1ワクチンの臨床第1相試験を開始する予定です。
CHP-MAGE-A4の臨床開発
広範囲のがんで発現する一方、正常組織では主に精巣にしか発現しない抗原蛋白質を「がん精巣抗原」と呼びます。MAGE-A4という蛋白質も その一つで、肺がん、食道がん、頭頸部がんなどの難治性がんでの発現頻度が高く、免疫原性も高い抗原です。このMAGE-A4とCHPを組み合わせたがんワクチン「CHP-MAGE-A4」について、非小細胞性肺がんを対象として臨床開発を推進しており、現在は臨床研究が行われています。
新しいCHPがん蛋白質ワクチンの研究開発
CHPがん蛋白質ワクチンは、採用する抗原蛋白質を変更することで様々な種類のがんに対応することが可能であり、それは新しいパイプラインの創出へとつながります。そこで、当社が有する独自技術や国内外との研究ネットワークとの連携体制を最大限に活用し、がん特異性や免疫原性などの面で優れた有望ながん抗原蛋白質を発掘または導入し、新しいCHPがん蛋白質ワクチンに採用していくことを目指しています。
CHPを応用した次世代バイオ医薬の創出
CHPをバイオ医薬(蛋白質医薬)のデリバリーへ応用することによってバイオ医薬の性能向上を図り、患者への負担を軽減した次世代バイオ医薬の創出を目指します。