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事業内容

当社は画期的な新薬を医療現場に提供することをミッションとし、 特に「がん」と「免疫」をキーワードとして次の4つの分野で創薬事業を進めています。

イミュノフロンティアの主な事業

CHPがん蛋白質ワクチンのグローバルな開発と事業化
CHPがん蛋白質ワクチンのグローバルな開発と事業化
CHPがん蛋白質ワクチンのグローバルな開発と事業化
CHPを応用した次世代バイオ医薬の創出

免疫制御メカニズムの探求による「免疫疾患治療薬」の創薬
免疫制御メカニズムの探求による 「免疫疾患治療薬」の創薬

技術の特徴

当社は事業の根幹を成すコアテクノロジーを複数保有していますが、最も早い実用化が期待されるのは「CHP テクノロジー」であり、CHP がん 蛋白質ワクチンやCHP 次世代バイオ医薬への幅広い応用が進んでいます。また、次世代がんDNA ワクチンや免疫疾患治療薬の創出を推進するた めの様々な新規技術の構築にも力を入れています。

CHPテクノロジーとがん蛋白質ワクチンへの応用

CHP は日本生まれの高分子マテリアルで、天然に存在する多糖の一種のプルランをコレステロールで化学修飾することで疎水性を付加したもの です。正式にはCholesteryl Hydrophobized Pullulanと呼ばれ、「疎水化プルラン」を意味しています。 CHPは生理的条件下でナノメートルサイズの球状粒子を自己形成します(図A)。このCHP 粒子は内部に様々な物質を包み込むことができ、特に
「蛋白質の包埋」に優れています。この性質によってCHP は、蛋白質の安定化や可溶化、徐放化を促進する働きを示します。 またこのCHP粒子を、蛋白質を抗原とするワクチン技術に応用する実験が行われ、その結果、CHPの大変興味深い性質が見出されました。すな わち、「CHP との複合体として抗原蛋白質を免疫すると、抗原蛋白質に特異的なキラーT 細胞とヘルパーT 細胞の両方が強く活性化される」と いう発見でした(図B)。
ワクチンの分野では、CHPを用いずに蛋白質のままで免疫をすると、通常はヘルパーT 細胞だけしか活性化できない、低活性のワクチンとなりや すいことが良く知られています。したがって「、CHP 粒子を応用した蛋白質ワクチンがキラーT 細胞とヘルパーT 細胞の両方を活性化できた」 という結果は非常に注目を集めることとなりました。またこの結果は、新しいがんワクチン「CHP がん蛋白質ワクチン」の研究開発を決定付け ることになった大きな初めの一歩でした。

がんDNAワクチン

DNA ワクチン技術は、抗原蛋白質をコードする「遺伝子」の形で抗原を生体に接種するという、分子生物学的技術を取り入れた最先端の免疫法 です。DNA ワクチンは、プラスミドDNA として投与することが可能であり、またウイルスベクターなどに組み込んで生体内に送達することもで きます。
例えばプラスミドDNA のかたちでDNA ワクチンを皮下に投与すると、プラスミドDNA は皮下細胞に取り込まれ、その細胞内で目的の抗原蛋白 質を産生します(図)。その後は蛋白質ワクチンと同様、産生された蛋白質が抗原提示細胞に取り込まれたのちにT細胞に抗原提示され、これを 活性化します。
DNA ワクチンは、蛋白質ワクチンと比較していくつかの長所を有しています。例えば、製造が比較的容易である他、様々な工夫を凝らして高性 能化を図る余地が大きい点もDNAワクチンの特長となっています。当社では特にこの高性能化という点に注目し、抗原蛋白質をコードする遺伝子 のほかに、免疫系を総合的に活性化するための種々の免疫刺激分子の遺伝子も搭載した「多機能・高性能のがんDNA ワクチン」の開発を目指し ています。
当社ではすでにいくつかのプロトタイプのDNAワクチンを検討中で、例えば「キラーT細胞が認識する抗原蛋白質「」ヘルパーT 細胞を刺激する 抗原蛋白質」「抗原提示細胞を活性化する免疫刺激分子「」制御性(抑制性)T 細胞を沈黙させるシグナル分子」の多コンポーネント搭載DNA
ワクチンの評価試験を進めています。今後は非臨床試験での安全性確認などの過程を経て臨床試験へと展開していく予定です。

関連文献

原田直純,村岡大輔,珠玖洋:高分子ナノ粒子系デリバリーシステムCHP(Cholesteryl pullulan)のがんタンパク質ワクチンへの応用、 PHARM TECH JAPAN 2009年1月号 (Vol.25/No.1)
珠玖 洋:多価性癌ワクチン、実験医学 22、118-124、2004
珠玖 洋:免疫療法の展望、最新医学 58、57-67、2003
珠玖 洋:がんワクチンの現状. 最新医学 57、101-107、2002
珠玖 洋:癌免疫研究のトランスレーショナルリサーチ、医学の歩み、200、529-532,2002
珠玖 洋:ヒト癌抗原の同定と免疫療法の新しい幕開け オーバービュー、現代医療 32、24-30、2000
生田安司、王立杰、珠玖 洋:免疫療法 現状と展望 HER 2を標的とした免疫治療の新しい展開 疎水化多糖類と樹状細胞、日本臨床免疫学会 会誌、22、445-447、1999
・ Nishikawa H, Kato T, Hirayama M, Orito Y, Sato E, Harada N, Gnjatic S, Old LJ, Shiku H.: Regulatory T cell-resistant CD8+ T cells induced by glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor signaling. Cancer Res. 2008 Jul 15;68(14):5948-54.
・ Harada N, Hoshiai K, Takahashi Y, Sakaguchi Y, Kuno T, Hishida T, Shiku H.: Preclinical safety pharmacology study of a novel